本日は前々回の記事で概要を紹介したコトブキヤのプラキット
「レイキャシール シノ Ver.APSY」のレビュー後編です。
基本的にはパーツの合いも外観・可動も良く、よく出来たキットなんですが
2つばかり注意しなければならないポイントがあります。
1つは「関節部にABS樹脂を多用している」
もう1つは「関節の可動が渋い箇所が多い」
という点です。
まず「関節部がABS」と言う点についてなんですが、これはどうも
最近のキットの流行のようで、ガンプラ等でも採用されているようですね。
従来のキットでは関節部がヘタレないようにポリキャップを使うのが
定番でしたが、ABSは摩擦や磨耗に強いという点と、ポリキャップを省略して
キットのコストを下げるのが目的のようです。
ただABS樹脂は塗装などで使う溶剤に極端に弱いという特性があり、
ABSパーツにうかつにラッカー系やエナメル系塗料を厚塗りしたりすると
クラックが入ったり、酷い時にはパーツが粉々に割れてしまうなんて事もあります
(特にエナメル系溶剤は浸透力が強いので避けたほうが無難)。
このキットを作る際に塗装する事を考えている人は
ABSパーツがどこに使われているかチェックしてからやることを
おすすめします。

さて、もう1つの「関節の可動が渋い箇所が多い」点についてですが
①首上部ボールジョイント
②首下部ボールジョイント
③肩軸関節
④スカート接続部ボールジョイント
⑤股関節
⑥太ももボールジョイント
⑦膝2重軸関節
⑧足首軸可動
ざっとあげただけでこれだけあります。
調整無しのストレートで組むと関節がギチギチで動かしにくいばかりか
場所によっては構造が耐え切れずパーツを破損してしまいかねない場合があります。
模型雑誌ではピンバイスと真鍮線による軸打ちまで推奨されていましたが
さすがに難易度が高いので比較的容易に出来る方法で
調整したいと思います。

では詳しく見ていきましょう。↑写真は頭部パーツをはずした状態。
まず肩は腕側の軸関節の可動がかなり硬く、調整したほうがいいですね。
軸に関節パーツを差し込んでみて指で動かせないほど硬かったら
関節パーツの穴を少し広げてやりましょう。
次に首上部ボールジョイントですが、ここも
ユルユルにならない程度に慎重に調節してやります。
これには重要な意味がありまして・・・。

さらに首パーツと首リングを外しました。
中央にピョコンと飛び出ているのが首下部ボールジョイント。
まずこの下部ボールが首にある受け側の穴とサイズがあっておらず、
ボールを首に接続するだけで首パーツにクラックが入りかねません。
もちろん強引にボールを差し込んでもガチガチで動かないのが関の山なので
ボールを小さく削るか、首側の受け穴を広げるかしたほうがいいですね。
もう1つもっと重要な問題が下部ボールの軸が異様に細い事。

首は2個のボールジョイントによる2重関節なんですが、
無調整で首を左右に動かすと、上部ボールの摩擦力に下部ボールの軸が耐え切れず
ねじ切れてしまいかねません。
首上部ボールの調整を推奨していたのはコレが理由です。

次に股関節・太もも廻りを見ていきましょう。
構造はこのようになっています。
太もも側のポリボールがこのキット唯一のポリ製パーツです。

まず問題なのが股関節の軸が非常に細い事。
しかもポリボールへの差し込みもキツキツで、
もし無調整で太ももを上に上げたりしたらポッキリいってしまう可能性が大です。
ここは股関節への真鍮線による軸打ちがポピュラーなようですが、
そこまでしなくてもポリボールの穴を若干広げてやれば充分です。
具体的には股関節の軸にポリボールを差し込んでみて
ボールが指でつまんで回転できるくらいまで広げてやればOK。
そして太ももと紺色パーツをつなぐボールジョイントの方ですが
ここは可動がものすごく渋いです。
太もものロール軸に当たる箇所なんですが、ボール部分を削って
ゆるくならない程度に調整してやりましょう。

次は脚廻り。
膝の2重軸関節、足首の軸関節の可動が渋く、そのままではギチギチ。
これではポーズの微調整もへったくれも無いので調整が必要です。
幸いこの辺の軸関節はほぼ3ミリ径なので、3ミリのドリルなどで
少し穴のアタリを付けてやればスムーズに動かせるようになります。
ただくれぐれも調整は慎重に。ユルユルになっては元も子もありません。

スカートと本体をつなぐボールジョイントもやや硬いので
ボールを少し削って調節してやります。

さて、さんざん「ボールジョイントを削って調整」なんて言ってきましたが
ボールジョイントは形が丸いだけに平ヤスリやサンドペーパーでの削りは難しいもの。
そこでオススメなのが↑写真のようなスポンジやすり。
これはスポンジの表面がサンドペーパーのようになっていて、
物を押し付けるとスポンジの弾力で変形するため、
丸い物を丸い形のまま研磨することが可能なアイテムです。
模型用の物も市販されていますが、DIYセンター等でも同様のものが購入可能で
1枚2~300円といったところ。
番手(目の細かさ)は600番前後のものと800~1000番前後のものが
1枚づつあれば充分でしょう。









ポーズ集。
関節さえきちんと調節してやれば、市販の完成品可動フィギュアと
ほぼ同じ感覚でポーズ付けを楽しむことが出来ます。

さて、レイキャシール・シノ後編はいかがだったでしょうか。
コトブキヤからはシノの元になった「レイキャシール・エルノア」、
シノに続く3作目「レイキャシール・ホワイティル」がすでに発売されており
さらに5月には多数の新規パーツが同梱された「レイキャシール・イエローブーズ」が
発売予定になっています。
武器が単色成型、武器が持ちにくい、関節廻りの調整必須など
難点もあるキットではありますが、アンドロイド系美少女としては優れたデザインで
今でも大人気のキャラクターですので、ぜひ作ってみてはいかがでしょうか。
以上、コトブキヤ レイキャシール シノ Ver.APSY (後編)でした。
ちなみに私はアマゾンで購入しました。
どのタイプも3割引前後で購入できますね。
うーむむむ。さすガッス。
便きょーになりますわん♪
ABS、コストダウンにはいいのでしょうが(売り手側から)
USER側からすると、要注意ですね。
うっかり塗っちゃえっ!っで泣きを見そうな・・・
ってか、USER側からの支点で、可動重視の注意点
とっても、参考になり、蟻が隊です!!
さぁ、コダも開封組立しよう!!
(ってか、改修後のラスト枚のPHOTOが、超らぶりぃな>照)
コメントありがとうございます。
>要注意ですね
負荷のかかりやすい関節部に使用されているので
なおさら溶剤によるクラックが発生しやすいようですね。
>可動重視の注意点
ここを見ている方たちはプラモデルよりは可動フィギュアのほうに
なじみがあると思うので(私もそうですが)、
組み立てたあとストレスなしに楽しめるような構成にしました。
コダさんはすでにエルノアを組んだことがあるそうなので
シノも問題ないと思いますよ。
ぜひ組み立ててみてください。
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