オリジナルミクロを作ろう!:はじめの1体を作る 「震える指先」
はじめての1体をあなたに。第7回です。
はじめの1体 032b

グレイス:皆さんこんにちは。「はじめの1体を作る」担当教官のグレイスよ。

前回で塗装が終わってマスキングテープを剥がしたんだけど、
塗装はこれで完了ってワケじゃないのよ。

マスキングテープを剥がした時点で全ての塗装箇所がきれいに仕上がっている事なんて
まずありえないと言った方がいいわね。はみ出しがあったり、ラインが欠けたりは
多少なりとも必ずあるものよ。

今日はこれらの修正をしていくワケなんだけど、実はこの先の作業が

難易度的には最も難関と言ってもいいわ。

でもせっかく作ったオリミクロをきれいに仕上げる作業だから、
がんばってチャレンジしてみてね。








はじめの1体 101

じゃ、まず塗装のはみ出しを修正していくわよ。
↑写真が使用する主な道具ね。

綿棒、ラッカー薄め液、デザインナイフ、そして1500番くらいの耐水ペーパー(紙やすり)。

耐水ペーパーっていうのは水で濡らしながら使う紙ヤスリの事よ。
1500番って言う数字はヤスリの「キメの細かさ」を表していて、
この数字が大きくなるほどキメが細かくなり、小さくなるほど荒くなるわ。









はじめの1体 102

手始めに簡単そうな所から修正していきましょうか。練習代わりにもなるしね。

↑写真の赤い矢印がマスキングテープの隙間からはみ出した塗料ね。








はじめの1体 103

はみ出した部分の塗装ラインに沿ってデザインナイフの刃を当て、
削り落としちゃうの。あまり力を入れちゃダメよ。コリコリコリ・・・って感じでね。

デザインナイフの刃をパーツに対して垂直(縦に)に当てて削るのがコツよ。
刃を寝かせるとパーツに切り込んでいっちゃうから。
余計な部分まで削り落とさないように慎重にね。









はじめの1体 106

ハイ、このくらいキレイに出来ればOK。削った塗料のカスはキレイに取り除いておいてね。

「デザインナイフだと怖い」という人は1000番くらいの耐水ペーパーで
こすり落とすっていう方法もあるわよ。








はじめの1体 107

他の小さなはみ出しも同様に処理してね。

この「削り落とし」をするとマテフォのパーツ表面に細かいキズが付く事があるけど、
後述のクリアコートをすればほとんど目立たなくなるわよ。

今回マスターは白素体を使ったからキズが全然目立たないけどね。

実はこの削り落とし作業がエアブラシのときより確実に増えるであろう事を
あらかじめ予想してキズの目立ちにくい白素体にしたらしいんだけど、
ちょっと卑怯だったかしら?(笑)








はじめの1体 108

次は比較的大きなはみ出しの修正ね。

↑写真は腰パーツなんだけど、サイドラインの塗料が内側まで回り込んじゃっているわね。








はじめの1体 109

こういう場合は薄め液を付けた綿棒で大まかにこすり落としちゃうの。

ああ、それからあまりビチャビチャになるほど薄め液を付けちゃダメよ。
綿棒の先端に薄め液をチョンっと付ける程度で充分だわ。







はじめの1体 110

ハイ、これでOK。細かい部分はデザインナイフなどで調整してもいいわね。









はじめの1体 111

↑写真はパーツとパーツの合わせ目に塗料が流れ込んでいった例ね。
赤い矢印で指した部分がそうよ。

こういう場合はパーツを一度分解して、薄め液を含ませた綿棒で
染み込んだ塗料を落として頂戴。







無題

じゃ、次の作業に移るわね。↑写真は塗装したマテフォの拡大断面図よ。

マスキングテープは厚みがあるから、塗装した部分と剥がした部分の境界に
赤矢印のような段差が残ってしまうのよ。今回は筆塗りで塗膜が厚くなっているから
なおさらね。

これは見る角度によっては非常に目立つので、この部分を削り落とす作業が必要なの。









はじめの1体 112

そこで登場するのが冒頭で紹介した1500番の耐水ペーパー。

耐水ペーパーはハサミで小さく切って使うのよ。あと水をつけながら使うから、
水をいれた小皿かなにかを用意してね。








はじめの1体 114

耐水ペーパーに水をつけて濡らしたら、塗装ラインに沿うようにペーパーを動かしながら
塗料の段差を削り落とすの。

あくまでそっと柔らかく、なでる感じで慎重にね。決してゴシゴシ削っちゃダメよ。
あまり完全に段差を削り落とす必要も無いの。「出っ張りがあまり目立たなくなればいい」
くらいのつもりでやってね。なんでもやりすぎは事故の元。

この作業をするとペーパーでこすった塗装面が白っぽく曇ることがあるけど、
クリアコートでキレイに消えるから気にしなくても大丈夫よ。

もちろんマテフォの地が見えちゃうほど削っちゃったら塗装で修正しなきゃダメだけど。
削り終わったらパーツに付いた塗料の削りカスや水分をぬぐっておいてね。









はじめの1体 115

↑写真はライン部分が大きくえぐれちゃった失敗例ね。
これはさすがに塗装によるフォローが必要ね。

でも「失敗したー!orz」なんてヘコむ心配は要らないわよ。
こんな時の為に失敗した後の修正が目立ちにくい黒塗装にしたんだから。









はじめの1体 116

前回やった塗装の時と同様に、黒塗料を塗料皿に出して薄め液とリターダーを加えたら
面想筆(毛先が細く尖った細筆)で修正したい箇所を塗るのよ。

他にも塗り忘れ、塗り残しがあった場所、塗膜が薄くなってマテフォの地色が
透けちゃっている箇所なんかもついでに塗ってフォローしておいてね。








はじめの1体 116a

塗装で修正した部分が乾いたらまた「持ち手」を付けてクリアコートの準備よ。









はじめの1体 117

ヒジ部分と足首はクリア塗料が入り込むのはあまり好ましくない(関節が固まる恐れアリ)
ので、この部分はマスキングテープでカバーしてね。








はじめの1体 119

これがクリアコート用にマスターが愛用しているMrスーパークリアー。
ツヤツヤになる光沢、つや消し、両者の中間の半光沢の3タイプあるけど
オリミクに使用するのは光沢タイプね。

全体のツヤを整えて、なおかつ塗装面の保護にもなるわ。







はじめの1体 121

塗装したパーツの塗装面にクリアーを吹き付けていくんだけどいくつか注意点を。

パーツに直接狙いを定めてプッシュボタンを押しちゃダメ。

始めはパーツにスプレーの塗料があたらない場所からボタンを押し、
そのまま素早くスプレーを動かして、パーツが塗料の霧の中を通過し終わったら
ボタンを離すって感じかしら。

慣れてくるとスプレー缶を円を描くように動かしながら「シュッ、シュッ」って感じで
リズミカルに出来るようになるわよ。

塗る対象物との距離は↑写真ではカメラの都合で距離があるように見えるけど
実際は15~20センチくらいよ。距離がありすぎると塗装面がザラザラになってしまうわ。

30センチも離れたら絶対上手くいかないと思ったほうがいいわね。
逆に慣れてくると10センチぐらいの至近距離でもキレイに吹けるようになるわ。

また、怖がってボタンを中途半端に押したり、湿気の多い日にクリア塗装するのも
失敗の原因になるわよ。

透明な塗料だから多少は厚塗りになっても構わないけど、やりすぎると
黒塗装が溶け出して滲んできたり、クリア塗料がタレてきたりしちゃうから
ほどほどにね。







はじめの1体 121a

クリアーコートの終わったパーツ。ピカピカの光沢が出るわね。

全ての塗装した部分にクリアー塗料がムラ無く塗れたらOKよ。
あと何度も言うようだけどホコリにはくれぐれも注意。
クリアーを吹き付ける前に念入りに確認してね。

黒塗装の段階でもそうだけど、もし塗装面にホコリがもぐりこんでしまっていたら
乾燥するのを待って耐水ペーパーで削り落として筆塗りでフォローしてね。









はじめの1体 122

クリアコートが終わったら完全乾燥を待つのよ。
まあ丸一日も乾かせば次の作業に移っていいわね。








はじめの1体 032f

さ、これで塗装は完全に終了よ。最大のヤマを越えたと言えるわね。
お疲れ様♪

この講座も次回が最終回ね。次回は組み立てとシール貼りで
いよいよ筆塗りレディの完成よ。


じゃ、また次回お会いしましょう。



第8回へ(←クリックでジャンプします。)




2008/10/21(Tue) | オリジナルミクロを作る | トラックバック(0) | コメント(10) | page top↑
コメント
--せんせ~質問!--

いや、講義、おもしろいっす。まとめて講義受けさせて
いただきました!ミクロ以外にも流用できそうですね
この技術。あ、教えていただきたいのですが、ひじや
足首、マスキングした部分とそうでない部分のつやに
違いってでてこないんでしょうか?気にならない程度
なんですかね?
by: 六畳一間 * 2008/10/21 22:26 * URL [ 編集] | page top↑
--六畳一間様--

コメントありがとうございます。

>ミクロ以外にも流用

と、いうか今までの講義の内容自体が
プラモ工作の流用ですけどね(笑)

>つやに違い

結論から言えばほとんど気になりませんよ。
どちらもパーツが小さい部分なので。

ツヤの違いよりむしろクリアー塗料が塗ってある部分と
マスキングテープを剥がした後の部分の境目に出来る
クリア塗料の段差の方が気になる方が多いでしょうね。

これは綿棒に薄め液を付けてクリアー塗料の
段差をこすり落としてしまえばOKです。
by: いいんちょ@ * 2008/10/21 22:54 * URL [ 編集] | page top↑
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うお、まだ塗料その他材料が揃えられてませんけれど…うむむ、ぶきっちょなビンテージにこの塗装作業が出来るかな? 何より心配なのが匂いの面でカミさんの許可が降りるかどうかだなぁ(汗

あっ、ご報告遅れてしまいましたがシール到着致しました。本当に有難うございますーっ。何とか丁寧に貼り付けたいと思いますっ。
by: ビンテージ * 2008/10/22 22:26 * URL [ 編集] | page top↑
--ビンテージ様--

コメントありがとうございます。

>ぶきっちょな

色を塗るのは多少豪快でも後でいくらでも
フォローできるので構いませんが、
今回やった仕上げの方はゆっくり慎重にやった方が良いですね。

ただ多少失敗してもなにせアラの目立ちにくい黒塗装なので
いくらでもごまかしはききますよ。

>匂いの面

部屋に換気扇でも付いていればいいんでしょうが
中々そうもいかないでしょうね。
ただ筆塗り塗装の場合、溶剤臭についてはエアブラシ塗装より
はるかにマシでしたよ。

>シール

無事に到着した様でなによりです。
にじみの無い出来の良い部分を切り抜いて
お使いください。
by: いいんちょ@ * 2008/10/22 23:06 * URL [ 編集] | page top↑
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自己流の塗装では解決できなかった段差の問題の解決法にびっくりでした。そうか、ヤスリだったのか…。
あ、質問なんですが、つや消しに仕上げるのは難しいんでしょうか?つや消し好きなもので…。
by: Edison * 2008/10/23 02:33 * URL [ 編集] | page top↑
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次回はいよいよ完成ですね!
講義を見ながら色々とガンバッテ、塗装にチャレンジしています(^^)
質問なのですが、頭部の銀色は何を使用するのが一番良いですか?
教えて頂けましたら幸いです☆
by: 龍牙 * 2008/10/23 13:40 * URL [ 編集] | page top↑
--Edison様--

コメントありがとうございます。

>段差の問題の解決法

この作業をすると塗装面がペーパーで多少削られて
白っぽくなったりするのでクリアコートは必須になりますけどね。

段差が大きくて1500番では大変な場合は
1000番で大まかに削っても良いでしょう。

>つや消しに仕上げるのは難しいんでしょうか

いや、全然難しくないですよ。
いつも私は「光沢」タイプのスーパークリアーを使いますが
つや消しにしたいなら「つや消し」タイプの
スーパークリアーでコートすればいいだけです。
by: いいんちょ@ * 2008/10/23 22:02 * URL [ 編集] | page top↑
--龍牙様--

コメントありがとうございます。

>頭部の銀色

これは好みにもよるんですが・・・

私はダイソーなどでも買えるプラチナ製の「プラチナペイントマーカー」の
「銀」を使用しています。

Mrカラーのシルバー系列の塗料よりは銀の粒子がかなり細かく、
値段も安いです。

個人的にはプラチナマーカーをオススメします。
詳しくは当ブログカテゴリーの「オリジナルミクロを作る」内の
「オリジナルミクロを作ろう!ヘッド編」を参考にしてください。

ただしこれはエアブラシ前提の作り方なので
筆塗りで銀塗装する時とは扱いがちょっと違います。
エアブラシのときは薄め液で希釈していましたが
筆塗りのときはあまり薄めなくても大丈夫。
ただ乾燥が異常に早いので手早くやった方がいいですね。

リターダーは有効かどうか試していません。私は早々に
エアブラシ塗装に移行してしまったので・・・。

またSATさんやゼントランさんはGSIクレオス製の
「スーパーメタリックメッキシルバー」というのを使ってます。
これは非常にメッキに近い質感が出せますが
値段や耐久性、入手性にやや難点があるので、私は使っていません。
by: いいんちょ@ * 2008/10/23 22:21 * URL [ 編集] | page top↑
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きれいに仕上げるには時間をかけてというのがよくわかりました。
私、かなりせっかちなので時間の余裕を持ちながらじっくり作業を進めていきたいと思います。
エアブラシに慣れていないので筆塗りの方法などとても参考になりました。
by: そーどふぃっしゅ * 2008/10/23 23:20 * URL [ 編集] | page top↑
--そーどふぃっしゅ様--

コメントありがとうございます。

>じっくり作業

仕上げの部分は最終的な出来にかかわってくるので
じっくり取り組んだ方がいいですね。
近道にはそれなりのリスクが付きまといます。

>エアブラシに慣れていない

私に言わせりゃ筆塗りの方が難しいですけどね(苦笑)
エアブラシで作る場合は当ブログカテゴリー内
「オリジナルミクロを作る」の中の
「オリジナルミクロを作ろう!ヘッド編・ボディ編」も
参考にしてみてください。
by: いいんちょ@ * 2008/10/24 00:34 * URL [ 編集] | page top↑
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