オリジナルミクロを作ろう!:はじめの1体を作る 「激闘!有機溶剤」
初めての1体をあなたに。第6回です。
はじめの1体 032c

グレイス:皆さんこんにちは。「はじめの1体を作る」担当講師のグレイスよ。

さ、いよいよ塗装に入るんだけど、
でもその前に色を塗る為の下地作りからね。

今日は下地作り→塗装→マスキングテープ剥がしまで一気にやってしまいます。
また長くなってしまうけど、がんばってついてきて頂戴。







はじめの1体 070

まずは塗装前の下地作りからよ。↑写真は使用する道具ね。

左上の赤いビンがMrメタルプライマー。中央のビンがMrカラー薄め液。
あとは塗料皿、スポイト、そして筆ね。筆は細めの平筆が使いやすいわよ。

なぜ直接色を塗っちゃいけないかというと、マテリアルフォースが
プラスチックじゃなくポリカーボネイトという素材で出来ていて、そのまま色を塗っても
上手く色が乗らなかったり、剥げやすくなってしまうことがあるからなの。

またここから先は薄め液などの有機溶剤(俗に言うシンナー)を使う作業だから

くれぐれも換気には注意してね。








はじめの1体 074

塗装する部分にメタルプライマーを塗っていきます。

このメタルプライマーっていうのは本来、塗料の乗りにくい金属材料に
塗料を食いつかせる為の下地剤なんだけど、プラスチックや他の樹脂材料にも有効よ。

メタルプライマーはかなりサラサラした液体なので、薄め液で薄めたりしなくても大丈夫。
ビンから直接筆に付けて塗っていけばOKよ。

あくまで下地なので厚く塗ったりしないでね。表面がしっとり濡れるくらいでいいわ。
全てのパーツに塗り終わったらホコリの付かない場所で乾燥させてね。

1時間も乾かせば充分なはずよ。心配ならパーツの臭いをかいでみて。
シンナー臭がしなければ大丈夫よ。








はじめの1体 075

全部のパーツを塗り終わったら筆先のプライマーをティッシュペーパーでふき取り
薄め液を塗料皿にスポイトで少量そそいだらそこで筆を洗ってプライマーを落としてね。

あとは筆先をティッシュペーパーでぬぐっておけばOK。プライマーをつけたまま
放っておくと筆先が固まって筆を傷めてしまうから注意してね。

塗料皿に出した薄め液はティッシュに吸わせてビニール袋に密封してしまうか、
ゴミ箱ごと屋外に出してしまうといいわね。








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さ、次はいよいよ塗装に入るわよ。↑写真が主に使用する道具類ね。

筆はやはり細めの物を。平筆でも丸筆でもいいわ。「絵画用」じゃなくて「模型用」の
筆を使ってね。はじめは安い物で構わないから。

一番手前の2本の金属棒はタミヤ製の調色スティック。塗料をかき混ぜる為の棒なんだけど
これは割り箸なんかで代用しても別に構わないわ。








はじめの1体 083

左から今回塗装するMrカラー「ブラック(光沢)」とMrリターダーマイルド、Mrカラー薄め液。

Mrカラーはプラモデルの塗装では定番中の定番とも言えるシリーズね。
色数も豊富だし値段も安いわ。

リターダーについては後述。薄め液は絵の具でいう「水」みたいな物と思って頂戴。


プラモデルの塗装に使われる塗料にはラッカー系・エナメル系・水性アクリル系の
大きく3つに分けられるんだけれど、Mrカラーは「ラッカー系」に分類されるの。

ラッカー系塗料の特徴としては

食いつきが良い
塗膜が強い
乾燥が早い
シンナー臭がややきつい


などがあるわね。

塗膜の強さと食いつきのよさはメリットなんだけど、問題は「乾燥が早い」って所なの。

ラッカー系塗料の筆塗りが難しいのはコレが原因で、塗った部分がどんどん乾いちゃうから
塗装面が凸凹になりやすいのよね。

そこで登場するのが写真中央のリターダー
これはラッカー系塗料に混ぜると乾燥速度を遅らせる効果があるのよ。

塗料が固まるのが遅くなるから塗装表面が平滑になってキレイに仕上がるのよ。
筆塗りがグッとやりやすくなるから「塗装面がボコボコになってしまう」って人は
試してみてね。









はじめの1体 083a

コレは無理して用意する必要はないんだけど一応紹介するわね。
有機溶剤をシャットアウトするマスク。DIYセンター等で入手可能よ。

今のラッカー系塗料や薄め液はそれほど強力な毒性はないんだけど
部屋が上手く換気できない場合や、シンナー臭で頭痛がする人等は試してみて。

値段は4000円くらいと少々高いけど、コレを付けていれば締め切った部屋で
エアブラシをガンガン吹きまくっても臭いはほとんど感じられないくらいよ。









はじめの1体 084


じゃ、塗装開始。塗料は放置しておくと分離しているから、棒などで
良くかき混ぜてね。

あ、言い忘れていたけどラッカー系塗料は服などに付くと落ちないから
気を付けてね。こぼれたり垂れたりしてもいいように、
下に紙や新聞紙を敷いておくといいわね。









はじめの1体 085

Mrカラーは原液そのままだと濃度が濃すぎて塗りにくいから、
塗料皿に塗料を注いだら薄め液とリターダーで濃度を調整するのよ。

濃度調整はある程度慣れがいるんだけど、今回は重ね塗りじゃなく俗に言う
「一発塗り」で決めるつもりだからやや濃いめに調整したほうがいいわね。

大体の目安としては、薄め液を塗料の約1~2割くらい、
リターダーを1割くらいかしら。
スポイトで滴下したら良くかき混ぜてね。

ただ個々の塗料の状態によっても全然違うから、塗りにくいと思ったら
調整してみてね。








はじめの1体 086

調整が終わったら筆に塗料を付けて塗っていくんだけど、
塗料の付け過ぎには注意が必要よ。

大体「毛先の半分くらいまでを使う」感じで塗料を付けて塗るといい感じね。







はじめの1体 087

最初に塗る時は塗料の状態とかがまだハッキリ判らないから、
失敗しても目立たない場所、修正が楽そうなパーツから塗ってみるといいわね。

塗料を乗せた時「ボッテリとして重い」と感じるなら濃すぎ。
逆に「下地が簡単に透ける」なら薄すぎね。

筆づかいは「まず塗装面に塗料を置き、それを素早く引き伸ばす」感じでやるといいわよ。
乾きが早くて塗り伸ばしにくいと思ったらリターダーを追加してみて。

多少マスキングテープの外にはみ出したりしても気にしない。
とにかく全てのパーツを素早く塗り上げる事が大切よ。










はじめの1体 088

普通こういった筆塗りは垂れない程度まで薄めた塗料を縦方向→横方向と
乾かしながら重ねて塗り上げる「交差法」で塗っていくのが普通なの。

でも今回の塗装はあまりに塗装面積が小さくて交差法は難しいので
やや塗料を濃い目に調整、リターダーで乾燥を遅らせ塗装面を平滑にし
一回で塗装を終わらせる「一発塗り」でやってみたの。

この方法はやや塗膜が厚くなりがちなんだけど、塗膜表面はキレイになるわ。

後コレは気分の問題かもしれないけど、筆塗りの場合のマスキングテープは
「塗料をせき止める堤防」ではなく「ラインに沿って塗料を塗る為のガイド」と思ったほうが
キレイに塗れると思うわよ。








はじめの1体 089

全てのパーツを塗り終わったらホコリの付かない場所で乾燥させてね。
ベランダがある人は外に出したりしてもいいわね。ちなみにウチのマスターは
押入れの中にいつも置いてるわ(笑)

これで塗装は完了よ。お疲れ様♪








はじめの1体 090

塗装が終わってまだ塗料皿に塗料が残ったら、元の塗料ビンに残りを
戻しちゃっていいわよ。

ただ当たり前の事だけど別の色を混ぜちゃったりした場合は戻しちゃダメ。

あとは塗料皿に残った塗料をティッシュペーパーでふき取ったら
そこに薄め液を注いで筆を洗いましょう。

筆を薄め液に浸けてはティッシュでふき取るを繰り返して、毛先から黒い塗料が
出てこなくなればOK。

あとは皿に残った薄め液をティッシュで吸わせて、そのティッシュで
塗料皿にこびり付いた塗料をきれいにふき取ってやれば効率的ね。








はじめの1体 095

塗料が乾いたらマスキングテープを剥がすんだけど、塗料が完全に乾きすぎると
塗膜が硬くなってテープがキレイに剥がれないの。

目安としては塗装してから2~3時間後くらいかしら。ただその日の気温や
湿度、リターダーの入れ具合によっても違うから、臭いを嗅いでみて
シンナー臭がしなければOKよ。

塗膜に素手でさわったり(指紋が付いてしまう)、塗装を傷つけたりしないように
慎重にゆっくりピンセットでつまんで剥がしてね。







はじめの1体 096

マスクを剥がした胸部パーツ。
肝心の胸部分はきれいなラインが作れたわね。

何箇所かはみ出してる部分があるけどこの程度は予想の範囲内。
きれいに整える方法はいくらでもあるから安心していいわ。

・・・と、いうより今回の塗装法は
「ある程度の塗装のはみ出し・にじみは想定内。後で修正すればいい」
って言うやり方なのよね。








はじめの1体 097

スネパーツ。

ちょっとラインのブレや塗料の染み出しがあるわね。








はじめの1体 100

腕パーツ。

ちょっと塗料のはみ出しがあるわね。







はじめの1体 100a

マスキングテープを全て剥がし終わったら、今度は完全に乾燥するのを待つのよ。
まあ大体丸1日おけば大丈夫ね。








はじめの1体 015f

今回はここまで。今回の講義、いかがだったかしら?

今回はやたら長かったけど、これは塗装→マスキングテープ剥がしが
時間的に繋がっている作業だったからなの。ごめんなさいね。

次回は塗装のはみ出しの修正や細かい仕上げについて解説する予定よ。


じゃ、また次回お会いしましょう♪



第7回へ(クリックでジャンプします。)


2008/10/19(Sun) | オリジナルミクロを作る | トラックバック(0) | コメント(14) | page top↑
コメント
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昔ラッカーを使ってガンダムをボコボコにして以来水性を使ってましたが…リターダーなんて便利なものがあるんですね。知らなかった…。
いやーためになります!
by: Edison * 2008/10/20 01:55 * URL [ 編集] | page top↑
--今更ながら・・・--

いやぁ~、まじめに参考になりました。
一人暮らしになったので家族に迷惑かける事無く
ガンガン塗装も出来る環境ですからね♪
これからは天気のよい週末の昼下がりベランダで
ノ~ンビリ色塗りします♪
次回も宜しくです!グレイス教官♪
by: SAT * 2008/10/20 06:52 * URL [ 編集] | page top↑
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メタルプライマー、ABSに使えるんですね~
そりゃいいこと聞いた。今まで僕は密閉するようにクリアコートをぶっ掛けてたのでw

レッスン中ですがもう既に何気に渋げなデザインで期待大♪

by: ゼントラン * 2008/10/20 17:08 * URL [ 編集] | page top↑
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今年の頭に塗装で超絶大失敗をやらかして、まだ自信喪失中のワタクシです(苦笑)

リターダー、知ってはいましたが使ってはいなかったですね。
しかもプライマーじゃなくてサフ吹きしてましたし。
使用する色にもよるのでしょうが、黒や銀ならプライマーだけで行けそうですね。
参考になります!
by: 赤帽子 * 2008/10/20 21:48 * URL [ 編集] | page top↑
--Edison様--

コメントありがとうございます。

>リターダー

ラッカー系塗料は乾燥が早くて、そのまま塗ると
表面がボコボコになってしまいますので
筆塗りならリターダー必須ですね。

これを使うと水性アクリル系に近い伸びのよさが出ます。
ただあまり入れすぎると中々乾かなくなってしまうので注意を。
by: いいんちょ@ * 2008/10/20 21:50 * URL [ 編集] | page top↑
--SAT様--

コメントありがとうございます。

>ガンガン塗装も出来る環境

誰にも遠慮なく好きな時間に作業できるのは
いいですね。ベランダなら換気の心配も
いらないでしょう。

ただ、いつぞやみたいにカラスにヘッドさらわれたり
しないようにご注意を(笑)
by: いいんちょ@ * 2008/10/20 21:54 * URL [ 編集] | page top↑
--ゼントラン様--

コメントありがとうございます。

>ABSに使えるんですね

あ、マテフォはABSじゃなくポリカーボネイトですよ。
ABSは溶剤に弱くて割れやすいというのをどこかで
聞いたような気がします。

私は昔下地にサフェーサー吹いてたんですが
どうしても厚塗りになってしまうのが嫌で、今はプライマー派ですね。

無処理で塗料塗るよりはくいつきが良い気がします。
by: いいんちょ@ * 2008/10/20 22:00 * URL [ 編集] | page top↑
--赤帽子様--

コメントありがとうございます。

>使用する色にもよる

黒や紺色素体のような強い色に隠ぺい力の低い色を筆塗りする時は
サーフェイサーしかないかもしれません。

でも私だったらサーフェイサー塗らずにすむ色にしちゃいますけどね。
なにせ塗膜が分厚くなりがちですし。

ちなみにエアブラシの場合だと
プライマー→銀or白塗装→隠ぺい力の弱い色
みたいな塗り重ねでサーフェイサーを避ける塗り方が可能です。

アイリーンの金色はこの方法で塗っています。
by: いいんちょ@ * 2008/10/20 22:07 * URL [ 編集] | page top↑
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忙しかった仕事もひと段落・・・してないのですが、今、ミクロカスタムの最中で、マスキングや塗装など、すごく参考になります。
がんばって仕上げ・・・たいです。
by: そーどふぃっしゅ * 2008/10/21 19:48 * URL [ 編集] | page top↑
--そーどふぃっしゅ様--

コメントありがとうございます。

>ミクロカスタムの最中で

おや、オリミク挑戦中ですか。がんばってくださいね。
私のこの講座が少しでもお役に立てば良いんですが・・・。
by: いいんちょ@ * 2008/10/21 22:24 * URL [ 編集] | page top↑
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ナルホド、多少失敗しても修正すればいいと考えると気楽になりますね。リターダーというのは知りませんでした。いつも、溶剤が多すぎると塗装が透けて何回も塗らなきゃならないし、少なすぎるとドロドロしてボコボコになるしと、苦労してたんですよね。リターダーって、トイザラスとか普通のオモチャ屋にもあるんでしょうか?
by: yoyon_bee * 2008/10/23 05:16 * URL [ 編集] | page top↑
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リターダーというのは初めて知りました!
塗膜が厚くなって困ることあったので、これは試してみます!
by: misodrill * 2008/10/23 13:32 * URL [ 編集] | page top↑
--yoyon_bee様--

コメントありがとうございます。

>多少失敗しても修正すればいい

そのための黒塗装でもありますしね。
黒なら失敗箇所を筆塗りでフォローした部分も
ほとんど目立ちませんし。

>リターダー

さすがにトイザラスでは売ってないでしょうね。
でもリターダーはラッカー筆塗りには必須のマテリアルなので
もうちょっと模型や塗料を本格的においてある店なら
必ず売っていますよ。
塗装したときの「伸び」が格段によくなるので
ぜひ一度おためしあれ。
by: いいんちょ@ * 2008/10/23 22:27 * URL [ 編集] | page top↑
--misodrill様--

コメントありがとうございます。

>リターダー

あれ、Mrカラーは有名でも意外とリターダーは
知られていないんですね。

筆塗りではどうしても塗膜が厚くなりますが、
リターダーはこれを防ぐ為のものではなく
「筆塗りしやすくする為」の物だとお考え下さい。

値段は定価で210円と安いです。
塗料を薄め液やリターダーで希釈して塗ってみて、
「まだ重い・粘り気が強い」と思ったらリターダーを追加して
調整すると良いでしょう。
by: いいんちょ@ * 2008/10/23 22:32 * URL [ 編集] | page top↑
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